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矢部 孝*; 内海 隆行*
Computational Fluid Dynamics Journal, 9(3), p.185 - 193, 2000/10
本論文は、固体,液体,気体及びプラズマが共存する系の汎用的数値解法として提案されてきたCIP法について現時点までのレビューを行ったものである。CIP法はセミラグランジュ法の一種であり、圧縮性流体の解法の面から構成され非圧縮性流体を含むように拡張されたものである。これは、プリミティブオイラー表現に基づいていることから多相流解析に適した数値解法となっている。また、この解法はセミラグランジュ法であるにもかかわらず、最近、正確に質量保存をする定式化が可能であるように拡張できることがわかった。さらに、CIP法は場の状態量を局所的な関数で表現することによりセル単位以下の分解能を有し、このため簡単な関数変換によりフロント・キャプチャーが可能である。本論文では、こういったCIP法の基本構成とともに、本解法をレーザー照射による溶融などの適用事例についても紹介する。
内海 隆行*
Computational Fluid Dynamics Journal, 8(1), p.135 - 141, 1999/04
流体方程式などの双曲型偏微分方程式に対する汎用数値解析技法として矢部等によりCIP(Cubic Interpolated Propagation)法が提案され、われわれはそのラグランジュ表現の微分代数的CIP(Differential Algebraic CIP)法を開発してきた。超強光電場でのプラズマの励起過程や緩和過程に伴う非線形現象が支配的な非局所熱平衡状態での光量子-物質相互作用に置いて速度分布関数の運動を記述するBoltzmann方程式も双曲型偏微分方程式である。このため、CIP法やDA-CIP法は微視的現象を記述するBoltzmann方程式などを解く手法として直接的に適用できると考えられる。本発表では、DA-CIP法により、Bhatnagar-Gross-Krook衝突項及び近似的なクーロン衝突モデルであるFokker-Planck衝突項を含むプラズマ・シミュレーションにおいて高精度数値解が得られることを示す。また、超強光電場における相対論的プラズマ・シミュレーションにおいて電子が相対論的速度に加速される様子を位相空間の電子分布関数で可視化して示す。
内海 隆行*; 佐々木 明; 功刀 資彰*; 藤井 貞夫*; 赤松 幹夫*
Computational Fluid Dynamics Journal, 8(1), p.128 - 134, 1999/04
プリパルス方式による効率的な電子衝突励起X線レーザーの開発のためには、固体ターゲットへのレーザー照射により生成されるレーザープラズマの状態を精度よく予測することが重要な要件である。レーザー光が固体ターゲットに照射されると、溶融・蒸発の後に高エネルギーの集中した状態として高温・高密度プラズマが生成される。このレーザー生成プラズマの状態を解析する方法の1つとして、これらの複雑な現象を連続体、あるいは混相流としてとらえ、流体運動として定式化することができる。この現象を精度よくシミュレーションするためにCIP法(3次補間擬似粒子法)に基づく解析コードを開発した。本論文では、固体ターゲットへの高強度・短パルスレーザー照射により、平坦な先端をもつ比較的均一なプラズマ状態が形成され、膨張伝播して行く状態をシミュレートしたことを報告する。
佐々木 明; 内海 隆行*; 田島 俊樹*; 宅間 宏*
Computational Fluid Dynamics Journal, 8(1), p.142 - 148, 1999/04
X線レーザーの短波長、高効率化のためには、高温・高密度の媒質プラズマの最適化が必要である。われわれは1次元流体シミュレーションと簡易原子過程コードとを組合せ、利得媒質となるNi様イオンを効率的に生成するために薄膜ターゲットを短パルスレーザーで照射する過渡的励起法が有効なことを明らかにした。しかし、プラズマ中に発生するX線利得の空間分布の時間発展を求め、X線レーザーの出力、パターン、コヒーレントを求めるには原子過程を含む2次元流体シミュレーションが不可欠となる。そこで、われわれはCIP法を用い、高温プラズマ中の非線形熱伝導を含む2次元プラズマ流体コードをIntel Paragon上でMPIライブラリを用いて並列化し、784PEを用い490倍の加速率を得た。さらに薄膜ターゲットから生成するプラズマの2次元的膨張の解析に応用した。
内海 隆行*; 功刀 資彰
Computational Fluid Dynamics Journal, 4(3), p.265 - 277, 1995/10
流体解析の数値的手法として、微分代数的3次補間疑似粒子法(DA-CIP法)を提案してきたが、本手法が、定常・非圧縮の仮定によりナビエ・ストーフス方程式から導出される伝熱方程式の数値解析にも有効であることを示す。本来、双曲型偏微分方程式への適用としてDA-CIP法を提案したが、伝熱方程式のような放物型にも同様に適用可能であり、数値拡散の小さい精度の高い解を得ることができる。
内海 隆行*
Computational Fluid Dynamics Journal, 4(2), p.225 - 238, 1995/07
双曲型偏微分方程式の数値解析手法として、3次補間疑似粒子法(CIP法)が東工大矢部等により提案され、衝撃波を伴う流体の数値解析等において多くの計算がなされてきている。ここでは、このCIP法を流体運動方程式のラグランジュ的観念から再構築し、空間差分を用いず、数値解析精度を向上することができる微分代数的CIP法を提案する。また、本手法を衝撃波の解析に適用し、精度よく安定な解が得られることを示す。
横川 三津夫; 渡辺 健二*; 山本 浩康*; 藤崎 正英*; 蕪木 英雄
Computational Fluid Dynamics Journal, 1(3), p.337 - 346, 1992/10
直接シミュレーション・モンテカルロ法(DSMC法)は希薄流れから連続流れの範囲の気体流れの数値シミュレーション手法のひとつである。この方法では、多数の模擬分子を用いるため、非常に長い計算時間と大量のメモリを必要とする。本論文では、DSMC法の並列計算手法とその評価結果について述べる。遷移領域におけるキャビティ内流れの解析において、プロセッサ1台の計算時間と比較した結果、プロセッサ64台で約42倍の速度向上が達成された。また、プロセッサ間の通信時間とアイドル時間を計測し同じ粒子数をもつように領域分割することが重要であることを確認した。